甘いヒミツは恋の罠

 会見の時に朝比奈にはめられたままの指輪がキラリと光って、紅美はその存在を今になって思い出した。


「そうだ! わ、私! 大切なルチアの指輪つけたままでした……すみません、これすぐにお返ししますね」


「おい」


 慌てて指から指輪を外そうとする紅美を制して、朝比奈は低い声で言った。


「お前、わかってないな」


「え……?」


「男心が本当にわかってない、それだからお前は――」


「っ……!?」


 最後まで言い終わらないうちに紅美はぐいっとそのまま引き寄せられ、温かなその胸の中へ包み込まれた。


「それだから馬鹿だって言うんだよ」


「ば、馬鹿って……だって、これって試着用の指輪ですよね?」


「バーカ、そんなわけないだろ。その指輪、よく見てみな」


 会見の時は、あまりの緊張でじっくり見る余裕さえなかった。抱きしめられながら紅美は朝比奈に言われた通りに指輪をまじまじと見つめると――。


「あ……」


 その指輪には小さなルビーとラピスラズリの石がはめ込まれていた。


(あれ? こんなデザイン、ルチアシリーズの指輪にあったかな……?)


「お前の誕生石と俺の誕生石だ。会見の時、指輪をはめる前にこっちと入れ替えたの気付かなかったのか?」


(え……? そーいえば……)




 ――お前の指輪はこっちだ。