甘いヒミツは恋の罠

 なぜ、朝比奈が謝っているのかわからない。紅美は、自分のせいで朝比奈にこんな顔をさせてしまっているのではないかと思うと胸が痛んだ。


「……お前の身の回りのことにちゃんと気づいてやれなくてごめん。お前のネックレス、取り返せなかった」


「朝比奈さん……?」


「あのルビーのネックレスはお前のばあさんの形見みたいなものだったんだろ?


 お前の母親が葵のところに売り飛ばすって知ってたら――」


「もういいんです」


 悔しそうに唇を噛む朝比奈に、それ以上何も言わせないとばかりに紅美が言葉で遮る。


「いいわけないだろ!」


「ふふ……朝比奈さん、だから本当にもういいんですってば」


 紅美が目を細めてふわっと笑うと、朝比奈はその笑顔がまるで理解できないといった表情で紅美を険しく見つめた。


「朝比奈さんが取り返してくれようとしたネックレスって、これのことですか?」


「え……?」


 紅美がポケットからそれを取り出して朝比奈に見せると、朝比奈は言葉を失って目を瞠った。