※ ※ ※
夜の海は真っ暗で、灯台の灯りと遠くに見える船の小さな灯りが、ほんのりとあたりを照らしていた。
海に目を移すと漆黒の闇のような水面に一瞬ゾクリとする。けれど、けして荒々しくなく穏やかに揺れる水面に、紅美は心地よさを感じていった。
「夜の海って、唯一空と一線がなくなって交わることができるんですよ」
「そう言われてみれば水平線が見えないな」
朝比奈に連れられてたどり着いた海は、都心からそう離れてはいなかったがあたりに人影もなく、かなり遠くへ来てしまったかのように思える。
ふと、空を見上げるとカモメの群れが夜の空を飛び回っていた。
「夜釣りの船からのおこぼれでも狙ってるんだろうな」
「カモメって夜行性じゃないですよね?」
「俺に聞くなって」
そんな他愛のない話をしながら海の桟橋を歩く。すると、朝比奈が急に立ち止まって紅美に言った。
「紅美、ごめん」
「え……?」
朝比奈にしては珍しいほどの沈鬱した表情と力のない声に紅美は困惑した。
夜の海は真っ暗で、灯台の灯りと遠くに見える船の小さな灯りが、ほんのりとあたりを照らしていた。
海に目を移すと漆黒の闇のような水面に一瞬ゾクリとする。けれど、けして荒々しくなく穏やかに揺れる水面に、紅美は心地よさを感じていった。
「夜の海って、唯一空と一線がなくなって交わることができるんですよ」
「そう言われてみれば水平線が見えないな」
朝比奈に連れられてたどり着いた海は、都心からそう離れてはいなかったがあたりに人影もなく、かなり遠くへ来てしまったかのように思える。
ふと、空を見上げるとカモメの群れが夜の空を飛び回っていた。
「夜釣りの船からのおこぼれでも狙ってるんだろうな」
「カモメって夜行性じゃないですよね?」
「俺に聞くなって」
そんな他愛のない話をしながら海の桟橋を歩く。すると、朝比奈が急に立ち止まって紅美に言った。
「紅美、ごめん」
「え……?」
朝比奈にしては珍しいほどの沈鬱した表情と力のない声に紅美は困惑した。



