甘いヒミツは恋の罠

 記者たちが慌てふためきながら叫んでいる声がかろうじて聞こえる。しかし、そんなこともお構いなしに朝比奈の車はあっけにとられている記者たちの前を猛スピードですり抜けていった。


「あっはは! あいつらの間抜け顔見たか?」


「そんな余裕ありません!」


「まぁ、そう怒るなって」


 映画のワンシーンのような展開に、紅美の心臓は今にも破裂しそうだった。


(なんだかとんでもないことをやらかしちゃったような気がする……)


 紅美は、そう思いつつもまるで逃避行のような成り行きに、波打つ高揚感を覚えていた。