甘いヒミツは恋の罠

「今回、彼女に指輪の試着モデルを頼んであるんです」


 朝比奈と目があった瞬間、紅美にスポットライトが照らされた。薄暗い会場の中、紅美だけが浮き彫りにされて全員の注目を一気に浴びる。


(え……? 朝比奈さん? これって……どういうこと~~!?)


「同じくアルチェスのデザイナー皆本紅美さんにお越しいただいてます。ではどうぞ」


 困惑して身体が動かないというのに司会に無理やり促され、紅美はカチカチになりながらステージに立った。


「あ、あの……朝比奈さ――」


「シッ! 黙ってろ」


 小声で諭されるが、紅美にとってこの状況が未だに理解できない。ライトに照らされていると目眩さえ感じる。


「それではアルチェスの朝比奈店長様から指輪をはめていただいて、皆本様に試着をしていただきます。シャッターチャンスですので、記者の方は前の方へどうぞ」


 次の瞬間、カメラのフラッシュが煌々と焚かれ目の前が真っ白になった。