甘いヒミツは恋の罠

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 グランドールホテルには、すでに雑誌記者や招待客でごった返していた。


(やっと着いた……)


 会場前で受付を済ませるとホールの中に入り、紅美はそわそわしながらあたりを見回した。ざっと五十人くらいは会場にいるだろう。


 会場にいる女性は主にパーティドレスで着飾っているが、紅美はあくまでも仕事と割り切ってスーツ姿だった。全員関係者なのだろうが、まったく知らない顔ぶれに紅美は少し不安を覚えた。


「すみません、あのアルチェスの皆本紅美さんですか?」


「え……?」


 その時、不意に声をかけられて振り向くと、司会者らしき女性が立っていた。


「はい。そうですけど」


「今回、司会を務めさせていただきます。えっと、後半で指輪の試着イベントが入ってますので、店長様のご挨拶が終わったら前の方へ移動していてもらえますか?」


 ボブカットのキリっとした司会の女性が、手元の資料をパラパラとめくりながら言った。