甘いヒミツは恋の罠

「ダメ……ですか?」


「なにがだよ?」


「ルビーを持たない私じゃダメですか!? 価値ないですか? 朝比奈さんにとって、意味ないですか?」


 ルビーの存在より自分を見つめていて欲しい。けれど、今の朝比奈は目は他を見ている。悲しさよりもやるせなさが優って、紅美は泣くに泣けなかった。


「あのルビーは……すみません、失くしました」


「な……」


 驚きで目を丸くしている朝比奈を見ると、胸がチクリと痛む。けれど、口が裂けても自分の母親に脅されたなどとは言えなかった。


「すみません、あれほど手放すなって言われたのに……」


 目の周りが熱を持って世界が滲み出す。歪む唇を噛みながら、紅美は今にもこぼれそうな嗚咽を堪えた。