甘いヒミツは恋の罠

「あさ……ひなさん」


「……え?」


「朝比奈さん?」


 その声はか細く、今にも消え入りそうだったが確かに女の声でそう聞こえた。


「朝比奈さん……いますか?」


「っ!?」


 朝比奈は、その声の主がわかると勢いよくドアを開けた。


「なっ……」


「よ、よかった……やっぱりここだった」


 ドアを開けた瞬間、一気に外の凍えるような冷たい空気が入り込んできた。


 頭に雪を被り、今にもよろけそうになりながらドアの前に立っていたのは、朝比奈にとって信じられない人物だった。身震いすることも忘れ、朝比奈はその人物に目を瞠った。


「み、皆本……」


「朝比奈さんのそんなに驚いた顔、初めて見ました。来た甲斐がありましたよ」


 紅美は、想像通りの朝比奈のリアクションに満足げに笑った。