甘いヒミツは恋の罠

 今夜は大雪――。


 朝比奈は暖炉に薪をくべて、揺れる焔をじっと眺めていた。照明のない小さなロッジにゆらゆらと炎の影が揺らめいている。


 ここへこもって数日が経った。


 朝比奈は納得のいかない失敗作のデザイン画を冷めた目で見つめ、なんの躊躇もなくぐしゃっと丸めて炎の中へ放り込んだ。パチパチと音を立てながら紙が燃えていく。


 容赦のない炎がそれをごくりと呑み込んだ。


 真っ赤に燃える暖炉の炎を眺めていると、紅美のルビーを思い出す。


 甘い蜜の向こうに隠されたその秘密に魅せられて、自分自身を見失ってしまった。なによりも大切なものを、失ってしまった。そんな後悔が朝比奈の心を苛んでやまなかった。



 朝比奈さん――。