甘いヒミツは恋の罠

※ ※ ※

 雪を踏みしめているはずなのだが、先程からすでにつま先の感覚がない。唯一、吐く息だけが温かかった。しかし、それも外気に触れれば一瞬で凍りついてしまう。


(おかしいな、確かこの辺なんだけど……)


 真っ赤になってしまった震える指先で地図を確認する。


(朝比奈さんに会ったら、最初になんて言おう……)


(多分びっくりするだろうな……)


 まるで子供心のようにワクワクしながらそんなことを考えることで、この状況に折れそうになる気持ちを保ち続けた。


「朝比奈さーん!」


 どこかできっと聞こえていると信じて、紅美は体力の限界までその名を叫び続けた。