甘いヒミツは恋の罠

※ ※ ※

 木田宝飾応接室にて――。


 海外出張から帰国した宇都宮葵と大野は数週間ぶりに顔を合わせた。


「それで? 出張はどうだったんだ?」


「そりゃあもう! やっぱり向こうの男って後腐れなくていいわね、仕事だってこと忘れそうになるくらい楽しんじゃったわ」


「あ、そう」


 大野にとって、葵はつまらない女ではなかった。ただ、馬が合わないの一点で、一緒にいて話をしていると、無性に奥ゆかしい大和撫子のような女性と話したくなる。だから葵は、商談以外で会うのは遠慮したい相手なのだ。


「今日はスケジュールに予定入ってなかったはずだけど? アポなしでよく来るな」


「急ぎだったのよ~ごめんなさいね。でも、アポなしでも顔パスで入れてくれる木田宝飾さんには感謝してるのよ?」


「白々しいな」


 本来ならば今頃、別の打ち合わせが入っていたのだが、急遽先方の都合がつかなくなり穴が空いてしまった。そこへタイミングよく葵が来たのだ。


 裏で仕組まれていたのではないかと怪しまずにはいられなかった。