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「おはようございます!」


「あぁ、皆本さん、おはようございます」


 オフィスに入るとすでに沢田が仕事をしていた。新しい年を迎え、心機一転するつもりで紅美が気合いを入れていると、沢田の重いため息が後ろから聞こえた。


「あの、どうかしたんですか?」


「どうもこうも……休み中に朝比奈店長宛に山のように書類が届いてまして……」


 見ると、沢田は朝比奈宛に来たファックスや書類などを並べてデスクの上で整理している真っ最中だった。


「今日中に朝比奈店長の返事が必要なものが二件、それから印鑑が必要なものが三件、それから……」


「わ、わかりました。あの、私でよければ今すぐ朝比奈店長のところへ行って届けてきましょうか?」


 余りにも困り果てた沢田を見かねて紅美が言うと、俯いていた沢田の口元がくいっと上がった。