しかし、紅美を自分の傍に置いたのは失敗だった。なぜなら、予想以上に紅美は朝比奈の心の中に入り込んできたからだ。
自分が手に入れたいのは紅美ではなくルビーだ。そして、その価値を手に入れて宝飾界の高みへと昇り詰める……はずだった。
――お前のやろうとしていることは、絵里と同じだぞ?
ふと、朝比奈は兄から何気なく言われた一言を思い返した。
忘れたくても忘れられないその名前に、朝比奈は拳を握った。男が女に手を挙げるなんて男のモラルに反しているとわかっているが、いま自分の目の前に絵里が現れたら、きっと頬を一発打っているに違いない。
けれど、今となってはもう墓の下を掘り返さない限り、それはもう叶わないことだった。
自分が手に入れたいのは紅美ではなくルビーだ。そして、その価値を手に入れて宝飾界の高みへと昇り詰める……はずだった。
――お前のやろうとしていることは、絵里と同じだぞ?
ふと、朝比奈は兄から何気なく言われた一言を思い返した。
忘れたくても忘れられないその名前に、朝比奈は拳を握った。男が女に手を挙げるなんて男のモラルに反しているとわかっているが、いま自分の目の前に絵里が現れたら、きっと頬を一発打っているに違いない。
けれど、今となってはもう墓の下を掘り返さない限り、それはもう叶わないことだった。



