甘いヒミツは恋の罠

「ずいぶん可愛い子を仕入れたのね……ふふ」


 そう小声で囁くと、髪の毛先まで香るような香水を残して、紅美の後ろでバタンとドアが閉まった。


(な、なによあの人……)


 そして再び男と目が合うと、一気に緊張感が増していった。


「なんであなたがここに……」


 身体が硬直するような沈黙に耐えかねて、乾ききった喉から声を振り絞る。その細かく震えた声を嘲笑うように男が口元に笑みを浮かべた。


「なんで? それは俺がここの“てんちょー”ってやつだから?」


「え……?」