甘いヒミツは恋の罠

 数時間前の出来事が脳裏でフラッシュバックする。記憶の中の男と、目の前の人物がカチッと音を立てて合わさった時、紅美は思わず叫んでいた。


「私の眼鏡にイタズラ書きしたストロベリーサンデー男!」


「あぁ?」


 その声も聞き覚えがある。ニヤリと笑った顔にも見覚えがある。


「はぁ……瑠夏、私そろそろ時間だからもう行くわ、また来るわね」


 乱れた服を整えたモデルのようなスラっとした女が、コツコツと踵を鳴らして紅美とすれ違ったその時――。