甘いヒミツは恋の罠

「何? あんた金、無いの?」


「え?」


「いくら?」


 ゴソゴソとバッグを覗き込んでいた顔をあげると、あのストロベリーサンデー男が店員に紅美の会計を済ませていた。


「あ、あの……!」


「邪魔」


 その男にグイっと腕を引っ張られると、迷惑そうに紅美の後ろに並んでいた客にギロリと睨まれ、紅美は肩を竦ませた。


「すみません!」


 ペコリと素早く頭を下げると、紅美はさっさと店を出ようとするその男を追いかけた。