甘いヒミツは恋の罠

(ほんとだ……)



「それで……その後、大野から連絡はあったか?」


「大野さんから?」


 先日、一緒に食事に行ったことを言おうか迷った。


 大野に食事に誘われる前、朝比奈が女性と親しげに一緒にいた事を思い出すと、モヤモヤとした気持ちが沸き起こる。しかし、朝比奈の鋭い目に射るように見つめられると、紅美は観念して正直に話すことにした。


「一緒に一回だけ食事に行きました」


「……ふぅん」


 朝比奈の目が光ると、紅美はそれから言葉がでなくなってしまった。


「あの、他愛のない話しかしてません。大野さんと朝比奈さんが古い知り合いだった~とか……」


 その視線にいたたまれずに勝手に考えもなしに口が動いてしまう。笑顔も乾いた笑いにしかならない。