甘いヒミツは恋の罠

 ほんのりと甘酸っぱい風味が広がって、脳細胞が糖分によって活性化するようだった。


「だろ? 俺が認めたストロベリーサンデーはここしかない」


(甘くて、冷たくて美味しい……なんかこういうの久々に食べたな)


 そう思うと自然と口元がほころんでしまう。


「デザインがうまく浮かばなくてって顔してたな」


「図星です……」


「まぁ、あの時の侘びも兼ねて……だな」


 朝比奈が椅子の背もたれに肩肘をかけながら言った。


「あの時って……?」


「……前にプライドがないとか言った事だよ。ちょっと……気になってたからな」


 バツが悪そうに朝比奈が声のトーンを下げてボソッと言うと、紅美はその時のシュチュエーションを鮮明に思い出した。