甘いヒミツは恋の罠

 何を見ているのかと紅美も見つめ返すと、テーブルの上にポツンとその男とはミスマッチなストロベリーサンデーが置かれていた。


(なに見てるんだろ……口にパンくずついてるとか?)


 紅美は、おてふきで口元をゴシゴシと拭いてみたが、まだじっと見ている。


 その男は、すっと通った鼻梁にシャープな輪郭、すれ違う女性はおそらく振り向いてしまうであろうという端整な顔立ちをしていた。栗色のナチュラルな髪、そして服装もシンプルだったが、どことなく大人のオシャレ感が漂っている。


(いっけない、もうこんな時間)


 紅美は残り十分の昼休みに、慌てて席を立ちレジに向かった。