****** ピンポーン 「はい、睦美、ちょっと待ってよ」 いつもなら笑顔になってしまう声も、今日に限っては能天気な声が腹立たしくてしかたなかった。 「いらっしゃい」 そう言いながらドアを開ける顔は満面の笑み。 そして私の顔色も見ずに腕を引っ張り、部屋の中に入れると、すぐに私を抱きしめた。 「会いたかった」 そう言われるのは嬉しくないはずがない。 だって、1ヶ月会っていないのだから。 でも、今日の私は違う。この男に一言物申しに来たんだ。