「川上さんって偉そうだよねー」 休憩室に置いてある傘を取りに行こうと、ドアノブに手を掛けた瞬間。 扉の奥から聞こえてきた自分の名前に川上小春は無意識のうちに立ち止まってしまう。 会話の続きを聞きたくないと直感的に思ったけれど、知らず知らずのうちに耳を澄ませてしまう自分がいて。 「企画リーダーだからって張り切りすぎじゃない?」 「もう二十七歳なのにティーン誌の企画なんてできるのかねぇ」 ふたりの笑い声が重なって耳の奥でジリジリと鳴る。小春はその場にしゃがみこんで体を小さくしていた。