――男性の声。 扇を置いてきてしまった私は、急いで袖で顔を隠しました。 すると、ふふ、と言う男性の笑い声が聞こえました。 「良き天気ですね。こんな日には橘の薫る丘で蹴鞠でもしたいものです」 一瞬、耳を疑いました。