元殺し屋と、殺し屋










ある日。

僕は情報を受渡しに、バーを出た。



向かった先は、繁華街。

繁華街の一角をアジトとする裏の社長さんへ、僕は情報を渡しに言った。

大きなキャリーケースたっぷりのお金をもらい、僕は上機嫌だった。

この世界、お金があれば、何でも出来るからね。




そこで、僕は見かけたんだ。

ボロボロになった、少女を。



少女を襲おうと考えていたらしい男たちをお金で追い払い、彼女に近寄る。

決して美人でも可愛くもない少女だけど、綺麗な涙を流す姿を見て、僕は放っておけなくなったんだ。



組織へ彼女を持ちかえると、ボスからは「お前が世話すれば好きにしろ」と言われ、僕はバーへ彼女を連れて行った。

彼女に温かいホットミルクを渡すと、少女はすぐに飲み干し、そのまま眠ってしまった。



次の日。

僕は彼女に名前を聞いた。

突然何故あそこにいたんだと聞くと、驚き、僕に心を開いてくれないと思ったから。

彼女が話せるようになるまで、待とうと信じたんだ。




彼女の名前は、玉置紅羽。

紅い羽・・・良い名前だ。



殺し屋に、育てよう。

殺し屋に・・・ピッタリな容姿だしな。

ボロボロで・・・闇しか宿さない、その瞳が。