元殺し屋と、殺し屋











「・・・フフ」



突然微笑みだす恭真。

どうした?




ザクッ




いきなり、手首に感じた痛み。

聞き慣れた、鈍い音。




「・・・ッ何するの?」

「・・・」



私の手首から、見飽きた鮮血が流れ出す。

急いで止血しないと。

多分この感じなら、痕は残らない。

花菜や知紗に「リストカットでもしたの!?」と驚かれる心配はない。



「・・・はぁ、つまらない」



人を切りつけておいてつまらない!?

最悪なこと言うねこの人!




「世界一の殺し屋って聞いていたから、避けられると思っていたんだけど。
こんなにまあアッサリ切られちゃって。
世界一って、誰にでもなれるみたいだねぇ」



世界一の殺し屋!?