「ふわあ・・・」と欠伸をする氷さんに、私は炭酸を渡した。

氷さんは大体起きがけには炭酸を飲む。

毎日続く時もあるので、いつか歯が溶けるぞ。



「・・・ああ、わりぃな」

「いーえ。
何の用ですか?
用がないなら帰ってください」

「ひでぇなぁ・・・」



苦笑しながら氷さんは炭酸を飲む。



「・・・そんなひどいこと言わないでよ。
僕も悪いと思っているからさ」

「・・・」



相変わらず、切り替えが早い男だ。



「ところで、殺されていないんだね」

「へ?」

「ボスに連絡が行ったときね、澪鵺、紅羽を殺すって言っていたんだ。
それなのに・・・殺されていないんだね」

「殺されて欲しかったですか?」

「殺されて欲しいわけないじゃん。
僕は紅羽の保護者・・・親なんだから」

「じゃ、何で神崎の復讐を手助けするとか言ったんですか?」

「・・・僕には殺し屋の能力はない。
ブラックキャットの幹部でいられるのは、僕が運良くボスに好かれ、情報屋だったから。
ボスはずっと有能な情報屋を欲しがっていたみたいだからね・・・」



氷さん、今地味に自画自賛しましたよね?