澪鵺は笑うのをやめ、私を見た。



「見ているじゃないですか・・・。
何がご不満でも?」

「確かに澪鵺は、今私を見ている。
でもその目の奥は・・・見ていない」

「見てますよ、俺は・・・紅羽のこと、を」

「嘘つかないで。
私・・・さっき澪鵺が寝ている時、聞いてしまったの」




口が・・・言うことを止めない。



駄目・・・この後は言ってはいけないわ。

この先言ってしまったら・・・

この関係が・・・崩れてしまう・・・・!



言わないまま、このまま過ごしていたい。

今日は旅行の最終日。

最終日なのに、こんなラストにしたくない。




でも、

心はソレを、許さない。

私自身が・・・許サナイ。






「レンナさんではなく、私を見てよッ!」

「・・・!?」



驚きへと一気に染まる澪鵺。