「紅羽は壁ドンを知らないそうなので、説明しますね」
あれ?
あの優しい唇が感じた感触がもう・・・ない。
「今のは“キス”です」
「きす・・・?」
「え?」
何故かポカンとする澪鵺。
「キス、ご存知ないんですか?」
「・・・魚のこと?」
「えっ・・・どこまで紅羽純粋なんですか?」
「? ?? ?」
きす?
なぁに、それ。
「・・・紅羽、壁ドンご存知でしたか。一応確認しますけど」
「カベドンなら、氷さん教えてくれたよ」
「カベドンって・・・どこの日本語覚えたての外国人ですか」
「失礼な。私は生粋の日本人です」
「発音が違いますよ。
カにアクセントを付けるのではありません。
壁、ドンです」


