「どうして仕事用の服を持ってきてと私に言ってくれなかったの?」

「・・・言えば、紅羽は素直に持ってきましたか?」



・・・持って来ない。

だって私は、殺し屋じゃない。

殺し屋を辞めたのよ。

ダークはこの世から消えた。




それなのに。

辞めたうえ旅行中に仕事なんて言われたら、断るに決まっている。

いかにも鋭そうな氷さんと澪鵺は、私の行動がわかっていたんだ。

だからギリギリまで教えてくれなかったんだ。





「どうぞ。氷さんから預かってきた服です。
氷さんに使い終わったら返すよう、言われています」

「・・・だ」

「え?」



「私、仕事しない!嫌だ!」




「・・・な、何を突然言いだすんですか!?」

「言ったでしょう!?
私はもう、殺し屋じゃないのよ!」

「紅羽!」



突然鋭い聞いたことのない声で叫ばれ、思わず体がビクッと震えた。