元殺し屋と、殺し屋









私、仕事用の服は、いつも家に置いてあるんだけど?

予備とかは持っていない。

忘れるとか、あり得ないから。



それなのに、俺が持ってきた?



「澪鵺。
あんた、私の家にまで忍び込んだの?」

「・・・は?」

「私の家に忍び込まないと、仕事用の服はないんだけど?」

「・・・なるほど、そういうことですか」





なるほどって何よ。





「安心してください紅羽。
俺は決して、紅羽の家には忍び込んでません。
でも、紅羽の仕事用の服はあります」

「どうして?」

「紅羽は仕事用の服、どうやって作りました?」

「え・・・?
氷さんにサイズ教えて、裏の仕事用の服を作る業者に頼んで作ったけど?」

「氷さん、万が一のために、紅羽のサイズが書かれた紙を取っておいたんです。
無くした時とか壊れた時用に。
一昨日、再び同じ業者に頼んで、急きょ作ったんですよ」

「そうなの?」

「ええ」




作るのなら、予め仕事だと言ってくれれば、仕事用の服を持ってきたのに。

どうして言ってくれなかったの?