私はその日。

殺し屋を引退した。




氷さんは、すんなり認めてくれた。




「僕が紅羽に会った時、紅羽はこの世の全てを憎む、闇のような目をしていた。
だから僕は紅羽をダークと名付け、殺し屋に育て上げた。

だけど・・・。
今の紅羽に、もう闇も憎しみもない。
ダークが存在する理由なんてないよ」

「氷さん・・・」

「今まで汚れ仕事ばかりさせてごめんね」

「いえ・・・。
確かに、褒められる仕事ではありません。
でも、私はダークとして生きれて良かったです。

氷さんや、有咲にも会えましたし」

「有咲に会えて、良かったね。
紅羽は、有咲の分まで長生きするんだよ?」

「はいっ」

「そういえば、保護者の件はどうする?
親戚とかもいるよね?」

「確かに親戚とかいますけど・・・。
関わりないですから・・・。

氷さん、もし良ければ、これからも私の保護者代わりになってくれませんか?」

「・・・良いのかい?」

「はい。
氷さんとは、今まで通り関わっていきたいなと思っていますので」

「僕で良ければ、いつでも構わないよ。
たまに僕の所にも来てよ」




氷さんは小さなバーを開いている。

お酒だけでなく、ジュースもあるから、仕事がない時でも、有咲と来ていた。

準備中である昼間は自由なので、私と有咲の格好のたまり場になっていた。