「うん、大丈夫だよ。どうしたの?」


『英語の訳し方でわかんねぇとこあるから聞こうと思って!』


「わかった。どこ?」


「んっとねー」



結城くんに聞けばいいのに、なんて言ったら可愛くない女の子だよね。


でも結城くんじゃなくて、私を選んで電話して来てくれて、私はとても嬉しいよ。


夜に、こうやって繋がっていられることなんて、滅多にないもんね。


声が聞けて、頼ってもらえて、素直に嬉しい。


まるで高橋くんの声が心にじわじわ染みていくみたいに温かくなる。

不思議な心地の良い感覚にうっとり酔いそう。



『なるほどな!わかった、ありがとう、日高』


「ううん、良かった。私教えるの下手だから、伝わってるか心配……」


『そんなことねぇーって!馬鹿な俺でさえ理解できるぐらいわかりやすかったよ!』


「へへへ、ありがとうね」



高橋くん優しいからそう言ってくれるんだよね。



『花火大会、楽しみにしてる』


「私も」



もう用は済んだはず、だよね。
いつ終わってしまうのだろう、この幸せな時間。


叶うことなら終わって、ほしくない。


そう思ってるのは私だけなんだろうけど、ずっとこうして話していたい。


口下手で、話題とかうまく振れないけれど、不器用なりに頑張るから。


あと少しだけ、ダメかな。