いつだってそこには君がいた。




落ち着くために勉強するなんて、どんなガリ勉だ、なんて自分に突っ込みを入れながら、この前沙月ちゃんと本屋さんに行って選んだ英語の参考書を開いた。


3人とも、私に合わせて自分たちのレベルを上げて受験しようとしてくれているんだもん。


私が一番頑張らなきゃいけないよね。


ーーブーブーブー。


しばらくノートに英文をすべらせていると、ベッドの脇に置いていたスマホが震える音が聞こえた。


どうせメールかメッセージかどっちかだろうから一瞬で消える音だろうと思っていたけれど、一向に止む気配のないバイブレーション。


ようやく通話だと気づいて慌ててベッドに駆け寄った。



「うそ」



手に取ったスマホの画面に映し出された着信相手の名前を見て驚愕する。


まさか、高橋くんからの着信!?


一瞬で溜まったつばを飲み込んで通話に出た。



「も、もしもし?」


『あ、日高?俺だけど……寝てた?』



耳許で響く、高橋くんの声。
声変わりしたての、でも、とても耳触りがよくて響く声。



「ううん、起きてたよ」

『今大丈夫?』



まるで耳のすぐ近くで囁かれているみたいで、ドキドキが止まらない。