「さっ、勉強しよ。帰りにプリクラでも撮りに行こうよ」
「いいね〜」
沙月ちゃんの提案に高橋くんが乗る。
……プ、プリクラ……!
撮ったことないって言えないけど、やばい、楽しみかも。
***
夜、自室にて、扇風機を回して部屋の温度を下げる。
けれど、今は夏休みで7月。しかもお風呂あがりの私にはその風は少々弱々しく感じられた。
……人生初のプリクラだぁ。
帰りにゲームセンターに寄って撮られたそれを両手で持って天井に掲げる。
みんな、キラキラしたいい顔で写っている。
宝物になったそのプリクラを見つめながら、ベッドに横たわった。
ピースをしたものもあれば、プリ機の指示で手でハートをつくっあものもある。
そして一番盛り上がったみんなで一斉に変顔をした、見たら一瞬で脇腹をくすぐられるもの。
落書きする時もすごく楽しかった。
あーじゃない、こーじゃない。
そーだ、こーだと、言い合いながら書いた。
「く、ふふふっ!」
思い出すだけでもにやけが止まらなくて、足をバタバタさせる。
反動で思わず胸にプリクラを抱いてしまって、くしゃくしゃにならなかったか心配になって飛び起きた。
はぁ……ちょっと落ち着こう。
「勉強しよ」



