そして最後まで説明し終えたとき、ちょうど乗るべき車両がやって来て、止まる。
「あれ、乗らないの?」
「うん、ここで結城くんのこと待ってようと思って」
「じゃあ私たちも……」
ふたりも乗車するのをやめ、電車は発車の時刻になったのか沢山の人を乗せて走り出した。
来てくれるかわからない。
もしかしたら今日は来ないのかもしれない。
それでも私は結城くんを信じたい。
***
《結城空斗side》
俺は、なにをしているのだろう。
昔から考え方が覚めていた。大人ぶっていたのかもしれない。
小学生のころは他のやつらが大声をあげて笑うことに対して「くだらねぇ」と唾を吐いていた。
そんな性格が祟ってか、同世代の人たちは俺のことを嫌っていたのは知っている。無理もない。俺自身が近づくなとそういった雰囲気を纏っていたのだから。
だが、そんな俺にも友だちと呼べる存在がいた。
生まれてからずっと一緒にいた幼なじみだ。
友だちをつくることが至極苦手な俺にも愛希がいて、沙月がいた。
ふたりのことは心から信用していて、一緒にいると心から笑えた。
ふたりだけだった。
俺が唯一心を許していたのは。
だがそんな俺も歳を重ねるごとにコミュニケーションの仕方を学び、他のやつらともうまく付き合えるようになった。無難に接している方が楽なことに気がついたのだ。
それでもやっぱり俺にはふたり以上の存在はできなかった。
そんな折だった。あいつが俺の通う中学に転校して来たのは。
最初の印象は"地味なやつ"。
正直全然興味がなかったのだが、なぜか愛希も沙月も気にかけていて、だから俺も話しかけたし、よく目線で追うようになった。



