いつだってそこには君がいた。




目の前にいる親友が、ポロリと涙を一粒頬にこぼした。



「正直もの凄いショックで受け入れられなかった……っ、どうしてずっと好きだったのに私じゃなくて優梨ちゃんなんだって……っ、すごくすごく汚いことばかり頭の中で考えちゃうし、でも、そんな自分も嫌でしょうがなくて、優梨ちゃんに会えなかった……っ」



固唾を飲んで私は見守ることに徹するように黙っていた。
沙月ちゃんの気持ちと言葉を最後まで聞きたい。知りたい。心の隅々にある、いろんなこと。



「友だち、続けられるかわかんなかった。でもすこし時間が経って、優梨ちゃんが悪いんじゃないんだって自分の中で折り合いをつけられた」



大きな二重の目を開かせて私を真っ直ぐに見すえる。



「友だちとして、お願いがあるの」


「……なに?」



お願いって……?



「空斗を、救ってあげてほしい」



ぐいっと拳で涙を拭った沙月ちゃんの男前な仕草。私は狼狽えるように、下唇を噛んだ。


私が、結城くんを……?



「あいつ普段は意地悪だけどすっごい良い奴だから、絶対悩んでたと思うの。優梨ちゃんの気持ちも知ってただろうし、私の気持ちだって……それに、愛希のことも」


「……っ……」


「勘がいいからあいつ。色々板挟みになって苦しんでたはずなの。でも気持ち抑えられなくなって優梨ちゃんに気持ち伝えちゃって、それで今絶対死ぬほど後悔して悩んでると思う」



結城くんのことを、考える。


確かに彼は頭がいいし、人の感情にもすごく敏感だ。
私たちの恋心を知ったうえで自分の気持ちを見つめたとき、絶対に悩むと思う。


苦しんでいたと、思う。


結城くんならわかるはず。自分が万が一にも私に告白したら、どうなるか。


みんな、壊れてしまう。関係も絆も。実際にそうだった。そう、なりかけていた。


わかっていたのに、あの日、田中くんたちの一件で抑えがきかなくなったんだ。


私が傷ついているのを見て、つい言ってしまったんだ。


私の、ために……。