いつだってそこには君がいた。




***



ここ三日は高橋くんが気遣って昼休みになると教室に迎えに来てくれていた。
お昼を一緒に食べようと言ってくれる。
私が教室でひとりなのに気づいてくれて。


今日は高橋くんが来るより先に、ある人が私を訪ねて来た。



「沙月、ちゃん……?」



言葉がスムーズに出てこない。
涙が滲んで前がよく見えなくなる。
だけどそんなのお構いなしに彼女のもとへ走った。
迷わず彼女の身体に抱きついた。



「優梨ちゃ……っ」

「沙月ちゃん……っ」



抱きしめずにはいられなかった。


やつれた顔。目の下のクマ。沙月ちゃんの顔はとても良いとは言えない有り様。



「ごめんね、心配かけて。メッセージも、無視しちゃってて……」


「ううん、全然気にしてないから大丈夫……!」


「ありがとう。ちょっと、話せないかな?」


「うん」



ぎこちなく笑う沙月ちゃん。ふたりで向かうのは初めて足を運んだ屋上だった。


錆びた鉄の重い扉を開けると、空が視界いっぱいに広がっていた。


コンクリートの地面に太陽の熱が反射する。


風はほのかにあるが、サラサラな沙月ちゃんの髪の毛をすこし揺らすだけ。



「ごめん、優梨ちゃん」

「どうして沙月ちゃんが謝るの?」

「私ね、空斗が優梨ちゃん好きなの知ってたんだ」

「え……?」



気の抜けた声が出た。それほど驚いてしまった。



「だってあいつのことずっと見て来たんだもん。わかるよ……」



そう、か。
好きな人のことはよく見るもんね。


好きな人に好きな人ができたら気づく、か……。



「だからね、こんな日が来るってわかってたの。わかってた、けど……」



言葉を詰まらせる沙月ちゃんに、私も胸が詰まる。



「覚悟してたつもりで、全然できてなかった……」