いつだってそこには君がいた。




その時ちょうど乗るべき車両がホームに到着した。



「そっか……」

「遅れるとやばいから、行こう」

「うん……」



高橋くんに倣って乗車した。音を立てて扉が閉まる。


ふたりのことを想うと胸が痛む。
大好きなふたりなのに、やっぱり傷つけてしまったんだ私。



「目、腫れてんね」

「うん」

「大丈夫?」

「うん、大丈夫……」



揺れる電車。手すりにつかまりながら、微かに笑う。
そのまま揺られること数分前、降りるべき駅に着いて私たちは下車した。


学校の校門をくぐり、昇降口で上靴に履き替える。



「日高」



階段を登り終え、いつも通り二手に分かれようと教室の方へ一歩踏み出した時、高橋くんに呼び止められて振り返る。



「なにかあったら俺にすぐ連絡して。飛んで行くから」



男らしい言葉に勇気づけられて深く頷いた。
そして高橋くんに見送られて教室まで向かう。


彼の優しさであふれた言葉の奥に隠された気持ち。そのことについて考えるには、抱えている問題が山積みすぎる。


まずは目の前のことから解決していこう。


教室にはきっと田中くんや雪菜ちゃんたちがいる。そう思うと心と足取りが鈍りのように重くなる。


だけど高橋くんが味方でいてくれる。応援してくれている。そう思うと乗り越えられそうな気がするんだ。不思議な感覚。


教室の扉の前に立つ。深く息を吸って吐いて、心の準備をする。


大丈夫、大丈夫。


繰り返し唱えると扉に手をかけて、横にスライドさせた。
ガラガラと音を立てて開かれる。


各々仲のいい友達で集まってお喋りをしている、なんでもない朝の光景に息を飲んだ。