いつだってそこには君がいた。




「部活頑張ってね」


「おう」



そう言って送り出そうとした時、突然立ち止まった田中くんに「待ってるのって、もしかして男?」と問われる。


私は瞼を上下させて数瞬の間をおくと「うん、そうだよ?」って素直に答えた。


彼が何度か噛みしめるように頷いて「そっ、か」と微妙な笑顔を見せる。



「どうして?」


「いや、ん、べつに……」



歯切れのよくない返答。



「友だちと勉強会する予定なの」


「もしかして学校の図書室でやってる?」


「うん、たぶん。その予定だよ」



昼間に打ち合わせてなかったけれど図書室なら参考書も揃っているし、私からそう提案するつもりだった。



「じゃあ、さ」


「うん」


「俺の部活が終わったあと、すこし会えない?」


「え?」



頬のあたりを赤らめて、照れたようなその田中くんの表情。
私はこの変な空気感を誤魔化すように乾いた笑いをこぼした。



「大事な話があるんだ」



だけど、真っ直ぐに私を見る真剣な彼の顔つきに私の無理矢理な笑いは引っ込む。
頷いて「わかった」とだけ言うと田中くんはすこしはにかんで「教室で待ってて」と教室を出た。


大事な話とは一体なんなのだろう。
想像しても、しきれない。