いつだってそこには君がいた。



憧れていた。本が友だちだった私は、ずっと友だちと共通の話題で盛り上がることに夢を見ていた。


昨日見たテレビの内容や自分の身に起きた珍事件のことなどを話して笑い合う。


あの頃憧れていたところに私はいる。そんなことを改めて実感すると心が温度を上げる。



「じゃあね、優梨ちゃんまた明日」


「うん、バイバイ雪菜ちゃん」



雪菜ちゃん、それから舞ちゃんと莉奈ちゃんの三人が仲良く教室から出ていくのを見送った。


私は高橋くんが迎えに来てくれるのを大人しく待たなくてはならない。六組はまだホームルーム終わっていないのだろうか。


想い人を待つこの時間が至極幸せで満たされる。鼻歌でも奏でながらお花畑をスキップしたい気分。それぐらい浮かれていた。



「ゆりりん」


「あ、結城くんバイバイ、また明日ね」


「ああ、うん……」


「どうかしたの……?」



ちょっぴり元気のない表情。切れ長の目が下を向いている。不穏な雰囲気を纏っていて、少し心配になる。



「なんでもねぇ。愛希とふたりきりになれて良かったな」


「えっ?」



にこやかに笑って、大きな手のひらを私の頭に乗せてから結城くんは教室を後にした。
私は触れられた頭部を撫でると首をかしげた。


……変だったな、結城くん。なにかあったのかな。


結城くんの残像を見つめて数瞬の間。
明日元気がなかったらワケを聞いてみよう。