いつだってそこには君がいた。




遠慮なく豪快にケラケラ笑う高橋くんに唇を尖らせる。まあ、鈍臭い私が悪いことに違いないけど。


それでもイジられることに対して許容することができずに唇をすぼめる。
合掌すると、お弁当に手をつけた。


あ、今日の卵焼きはうまくいった。美味しいかも。だけど適当に味付けしてしまったから明日も同じ味を作ろうと思っても無理だ。メモっておくべきだった。



「そういやさぁ、来週からテスト期間じゃん?」


「ちょっと愛希、嫌なこと思い出させないでよ」


「俺だってテストの話なんかしたきゃねぇーよ」


「なになに、なんの話?」



美味しそうなうどんが乗ったトレーを手に戻って来た結城くんに「テスト」と高橋くんが答えた。



「ああ、なんだ」


「俺ピンチだからみんなで勉強会しねー?」


「いつ?」


「今日」



ガヤガヤした校舎一階に位置している食堂。
ふたりの会話に目が点になった沙月ちゃんと目が合う。そのあと沙月ちゃんが「あー」と渋ったような声をあげた。



「今日はダメなんだよね、私」


「俺も」



結城くんがうどんをすすり、沙月ちゃんがお水を口に含んだ。


ふたりともダメじゃあ今回はおじゃんになるよね。


そう思って私は何も言わずにタコさんウインナーを箸ではさむと口に放り込もうと大きく口を開けた瞬間だった。



「日高は?」



聞かれると思っていなくて、動揺した手先がうまく使えなくなってタコさんウインナーが可哀想にテーブルに転がった。
高橋くんが「もったいねぇ」と笑い、私はまばたきを繰り返した。



「日高は今日都合悪い?」



ティッシュで落としたウインナーを包んでいると、また改めて問われる。