いつだってそこには君がいた。




いつから私はそんな贅沢な考え方になったのだろう。

中学二年生までの私は、友だちがいることが奇跡みたいだったのに。



***



本日最後の授業を終えて、書き殴られている黒板を綺麗にしに教壇に向かう。もうこれは私のルーティーンになっている。やらないと落ち着かないレベルだ。


白い粉が飛んで、紺色のブレザーに細かくまぶされる。


もう慣れっこだけど、さっきの数学の先生筆圧が強すぎて力一杯に磨いてもなかなか消えないで時間がかかる。


鼻にかかるチョークの臭い。
背後ではクラスメイトが楽しそうに談笑に勤しんでいた。



「日高さん偉いよね、いつも」



唐突に話しかけてくれたのは、クラスメイトの田中雅也くんだった。野球部で、髪の短いのと、八重歯を覗かせる爽やかな笑顔が特徴。



「そんなことないよ?」



田中くんがおもむろに隣に立って黒板消しを手に取る。



「朝練のときも学級委員たちが掃除してるの見るけど、一番一生懸命にしてるの日高さんだもん」


「そう、かな?」


「うん、そうだよ」



田中くんが腕を車のワイパーのように大きく動かして、黒板を綺麗にしていく。私も黙々と作業を続けた。


ふと後ろに振り向くといつも手伝ってくれる結城くんが不自然に立ち上がってこちらを見ていることに気がついて、目が合うと途端にそらされて席に座る。


田中くんが手伝っている姿を見て遠慮したように見てとれた。