いつだってそこには君がいた。




なんてことを考えながら結城くんと笑いあって会話を続けていると、前方から「優梨ちゃん」と声をかけられて顔を向ける。


笑顔の沙月ちゃんに手を振って応えた。隣には高橋くんもいる。


食堂にみんなで向かって昼食をとった。
会話はいつも通り弾み、笑いが絶えない雰囲気に心が踊った。



***



六時限目までの授業をすべて終え、帰りのホームルームが始まった。
朝のホームルームで決められなかった学級委員の選出だ。



「立候補するやつはいないのかー?」



先生が痺れを切らしたように声をなげかける。


自分は関係ありませんと言った風に机や爪、窓の外を見つめる生徒たちをよそに、私はただ黒板の方を見上げていた。


誰も学級委員をやりたがらないんだな。
かと言って私もやりたくはないのだけれど。


ふとその時「せんせー」と気の抜けた女子生徒の声。
見ると手を上げてニコニコしている。



「なんだ?」


「私、日高さんを学級委員に推薦しまーす」


「えっ」



思わず声を漏らす。
いっきに頭の中が真っ白になって、なにも考えられなくなった。

みんなからの視線をいっきに受けて、心臓がばくばく動き出す。



「日高さんしっかりしていて学級委員にぴったりだと思います」


「そうか、じゃあ日高、やれるか?」


「えっ……あ……」



先生が私を真っ直ぐに見る。
なにも返事をできずにいると流れ出した変な雰囲気に目が回った。


早く、なにか言わなきゃ。

とりあえず、なにか……。


膝もとに置いていた手を力一杯握りしめる。



「…………」



頷くことは、とても簡単だった。
断る言葉を発するよりも一瞬だけ首を縦に動かすことの方が容易にできた。