いつだってそこには君がいた。




ふと隣を見ると「手伝う」と黒板消しを手に取る結城くんがいて驚いた。



「ありがとう」

「習慣は高校生になっても変わんないか」

「気になっちゃうからね」

「ゆりりんらしいな」



中学生の頃の私を知っているからか、笑ってそう言ってくれる。
結城くんが手伝ってくれたから早く消し終えることができた。


席に戻ると「仲良いよね」と舞ちゃんに言われる。



「うん、中学が一緒だったし、よく遊んでたから」


「それでよく好きにならないね?」



莉奈ちゃんが不思議そうな顔をしている。



「ならないよ」



なんでもない顔でそう告げた。


だって私には好きな人がいるのだから。
そうは言わなかったけれど、理由はそうだ。
親友の好きな人でもあるし。


私は高橋くんより素敵な人を知らない。


結城くんももちろん格好良くていいところもたくさんあるいい人なのだけど、私の心を掴んで離さないのはもう一年前から彼しかいない。



「ゆりりん、行こ」



昼休みになって、結城くんが私の席まで迎えに来てくれた。
頷いて立ち上がった私に「どこ行くの?」と雪菜ちゃんが声をかける。



「他のクラスの友だちとお昼食べる約束してるんだ」


「そうなんだ」


「うん、だから行ってくるね」



雪菜ちゃんにそう言って行こうとした瞬間「待って、私も行きたい!」と雪菜ちゃんが志願する。


私は結城くんと顔を見合わせて、もう一度彼女を見た。



「ダメ、かな……?」


「ダメっていうか……」



色々とまずい。なにがって、結城くんのことを狙っている彼女を連れて沙月ちゃんのところへ行くなんて、気が引けてしょうがない。


でも無碍に断ってしまっては、雪菜ちゃんを傷つけてしまうかもしれない。



「ごめん、今日は中学の頃の同級生だけでお昼の約束してたから、松原さんは連れていけないや」