いつだってそこには君がいた。




教室に到着するとそれぞれ席に着く。舞ちゃんと莉奈ちゃんが既にいて、挨拶を交わすと私と雪菜ちゃんの席あたりに歩み寄ってくる。



「ねぇねぇ、優梨ちゃんって結城くんのこと好きなの?」


「へっ!?」



雪菜ちゃんの突拍子のない質疑に胸の前で手を激しく振りながら慌てて「好きじゃないよっ」と返答する。


それを聞いた雪菜ちゃんが「よかったぁ」と胸を撫で下ろした。



「実は私、結城くんいいなぁって思ってるんだよねぇ」



雪菜ちゃんが言う。



「結城くんは絶対学年の女子みんな憧れてるよ」


「そうそう、昨日の新入生代表の挨拶はかっこよかったしねぇ」



莉奈ちゃんと舞ちゃんがうっとりした表情をわざとらしくつくり、結城くんに目線を送る。


周りの女子を見てみると、心なしか結城くんの方に熱い視線を注いでいるように見えないこともない。


まさか、もう人気者になって……?



「あのクールな感じがいいんだよね〜」

「わかる〜、かっこいいよね〜」



小声でクスクスと笑う莉奈ちゃんと舞ちゃんに「ダメだよぉ、結城くんのこと、私マジだから」と雪菜ちゃんが水を差す。



「えぇ〜、雪菜マジなの?」

「でも結城くんと雪菜なら美男美女でお似合いだよね」



盛り上がる三人に、私の心の温度が冷えていく。冷たい汗が流れ出すようだ。


ど、どうしよう……。
雪菜ちゃんのこと、応援できない。


だって私の親友である沙月ちゃんの好きな人が結城くんなわけだし。


結城くんが人気者になるのは目に見えていたことだけど、あまりの早さに困惑する。
それもこれも、昨日あんなに堂々と新入生代表の挨拶をしちゃったからだ。