順調に進んでいく式。祝辞が読み上げられ、次はこちら側からの答辞。
確か首席合格した人が選ばれると沙月ちゃんが言っていたっけ。
「新入生代表、結城空斗」
「はい」
呼ばれた名前に意図せず「え……」と言葉を漏らした。
同じ列に座っていた結城くんが立って、真っ直ぐにステージへと歩いていく。
体育館内がどよめいているのは、きっと私とは違う理由だろう。今だって「かっこいい」とか「だれ?」とかそんな女の子たちの黄色い囁きが聞こえてくる。
だけど私の疑問はそこじゃない。
結城くん、首席合格だったの……?
「よく晴れたこの良き日に、私たち新入生は……ーー」
マイクを通して聞こえる結城くんの声。
呆気に取られながら私は最後まで彼の答辞を聞いた。
なんで教えてくれなかったのだろう。驚かせいとかそんな理由だったら大成功だよ。
式が終わり、退場したあと、教室にたどり着くやいなや、結城くんのもとへと走った。
「結城くん、答辞やるなら言ってよ」
「いやいや、俺全然やる予定じゃなかったし」
「え?どういうこと?」
席に着いた結城くんが疲れたようにため息を吐いた。きっちり締めていたネクタイを緩めている。
事態を飲み込めず再び結城くんを見ると「首席合格したやつが病欠で、今日来てないらしくてさ」とぼやく。
「んで次席だった俺に話が来たってワケ」
「そうなんだ……お、お疲れさま?」
結城くんが次席だったことにも驚きを隠せないのだけど、なにより疲れている様子の結城くんに苦笑いしか向けられない。



