張り切っていた彼女は当日、勇気が出ずに結城くんになにも言うことが出来なかったらしい。
卒業式あとにやったカラオケでのクラスの集まりで落ち込む沙月ちゃんとやけ酒ならぬ、やけジュースをした。
たっぷんたぷんになったお腹を携えて歌もたくさん歌った。
「はぁああ……」
「幸せ逃げんぞ、そんなため息吐いてたら」
目の前に立っていたのは結城くんと、まだ眠そうに瞼を擦る高橋くんだった。
「誰のせいだと思って……」
「なんか言った?」
「なんでもないよ!……行くよ!」
私の手を強引に引いて、歩き出した沙月ちゃんに身を任せる。
切符を購入するとちょうど来ていた車両に乗って高校へ向かった。
揺れる電車。合否が気になって昨日はドキドキしてなかなか寝つけなかった。
雑談をしながら時間が進んで、目的地についた電車。
降りると受験の時同様に道を行く。
学校に近づくにつれ、同年代の人たちが増えていった。
深妙な面持ちで、皆が同じ方向に歩んで行く。
校門付近にたどり着いた時たくさんの声がこちらに届いた。
嬉しさで叫ぶ声、結果を知るのが怖いという囁き声。
すれ違う人のなかで落ち込んだ表情をした人もいたから、心臓が痛くなる。
私たちの間でだんだん会話がなくなっていった。
「…………」
無言のまま受験票を取り出して、合否が書かれた紙が貼られた掲示板のところへ行く。
自分の番号四桁を確認して、深呼吸すると真っ直ぐ前を見る。目線をゆっくり動かした。自分の番号の近い数字から徐々に下へ、下へ。
「……っ……」