いつだってそこには君がいた。




「結城くん、女の子にはもう少し優しくしてあげて」


「……してるつもりだけど」


「一番近くにいる子を大切にしてよ」



結城くんは意地悪だ。優しい一面もある。


それでももっと優しい部分を沙月ちゃんに発揮してほしいっていうのが沙月ちゃんの友人としての本音だ。


難しいんだろうけど……。



「私もトイレ」


「あ、ちょ……」


「昇降口で待ってて」



振り返って笑みを渡すと廊下を進んで一番最寄りのトイレに向かった。
沙月ちゃんがとても心配だ。


中に入ると端の個室だけ扉が閉まっていて、恐る恐る「沙月ちゃん?」と声をかけた。


数舜待つと遠慮がちにドアが開く。暗い顔をした沙月ちゃんが出て来た。



「さっきの私、感じ悪かったかな……」

「ううん、そんなことないよ」

「ほんと?」



暗い顔が一瞬明るくなったけれど、またすぐ険しい表情に巻き戻る。



「……でも空斗、全然私のこと女の子扱いしてくれないから正直しんどいや」


「沙月ちゃん……」


「幼なじみっていいねってよく言われる。でも全然よくない。だって一番近くにいて、一番近くにいるからこそ、女の子として見てもらえないんだもん」


「うん」



今にも泣き出しそうな沙月ちゃんの表情に、私もつられるように心が痛んで泣きたくなった。


幼馴染がいるっていいなと転勤族の私は真っ先に思った。
私にはそんな存在いないし、仲良しな三人を見て羨ましくなった。
だけど、それはそれで悩ましいことでもあるんだ……。