他人の感情なんて、自分の思い通りにならないのに、好きな人が自分を好きになってくれたら……って、そう願わずにはいられない。
高橋くんが私のことを、好きになってくれたら、どんなに幸せだろう。
私だけに笑いかけてくれたら、どんなに幸せかな。
……あれ、そういえば、高橋くんの姿をまだ見ていないな。
「結城くん、高橋くんは……?」
「ああ、あいつなら熱でぶっ倒れてるけど」
「熱……!?」
さも興味ないように結城くんは言い放ったけれど、私は驚きすぎて、続きの言葉を失った。
そんな……こんな大事な時期に熱だなんて、大丈夫なのだろうか。
顔を赤くして、きつそうにお布団で苦しむ高橋くんの姿が頭に浮かんで、血の気が引いていくよう。
「ちょっと、高橋くんにメッセージ送ってみる……っ」
「寝てて返事できねーんじゃね?」
それでも大丈夫なのか心配だから、アプリを使ってメッセージを送くるほかない。
送信した後もそわそわしてしまって、とても落ち着いていられない。
寝込んでいたらどうしよう。
前に確かご両親が共働きだからって、兄弟たちの面倒を見てると言っていたような気がする。
だとしたら今高橋くんは家にひとりなんじゃ……?
「放課後お見舞いに行く?」
「えっ?」
見かねた沙月ちゃんが「行っちゃおうよ!」とつけ加えた。
えええ、高橋くんのお家に……行く?
しばらく悩んで私は頷いた。
弱ってひとりでいるなら、助けてあげたいし。
幸いにも今日は週に一度の塾の予定が入っていない月曜日。



