いつだってそこには君がいた。




腕まくりをしてやる気を出している高橋くんに私も負けじと浴衣の袖をまくし上げる。


勝負なんて言い出しておいてなんだけど、実は私、金魚すくいをやったことない。


網をおじさんからもらって、水槽の前でどの子にするか狙いを定める。
そしてじっとしている金魚を見つけ、その子のもとへ網を持っていく。


そして、水に網をつけてくすいあげた瞬間。



「きゃっ」



暴れられて、網が無残にも破れてしまった。
それまでは大人しかった金魚がもの凄い勢いで身体を動かしたもんだから、びっくりして心臓がバクバク動いている。


そのままの状態で呆然と固まる私の隣から豪快な笑い声がする。
隣を見ると高橋くんが可笑しそうに顔をくしゃくしゃにしていて、口を尖らせる。


そんなに笑います?



「ふはは!」



……でも、その笑顔は、好きだなと思う。
いつまでもその屈託のない笑顔でいてほしいって願ってしまうな。
そしてその瞳には、私を映していてほしいだなんて、おこがましいだろうか?



「取れた!見て、日高!」



プラスチックのお椀の中にいる赤い金魚を無邪気に私に見せる高橋くんに「すごいね」って私も微笑む。


今、この時間が、楽しすぎる。
一番贅沢な時の過ごし方なんじゃないかな。


好きな人と笑って、夏休みの花火大会、青春のひとコマ。