「夜々木!」


不意に廊下で誰かに呼び止められる。振り返ると……


「あ、野沢先生」


4組の担任の野沢先生が歩み寄ってきた。


クラスの担任じゃないから、あまり話したことはないし関わりもないはずだけど……


突然、名前を呼ばれたことに、首を傾げたときだった。





「夜々木、お前…常盤の友達らしいな?」


「え?あ、はい」


思ってもいなかった質問にあわてて返事をする。


どうして今、そんなことを聞いてくるのか……


「奈々子が、どうかしたんですか?」


嫌な予感がする……。


そういえば、ここ数日奈々子と会っていないことに気づいた。





「いやあ、実はな……常盤がここ数日、学校に来てなくてなあ」


「え……?」


私は目を見開いて固まる。


奈々子が……学校に来ていない?


「親の連絡では、風邪って聞いているんだが……風邪なんて、そうそう長く続くもんじゃないだろ?」